まぐろ事件

  • 2017.03.12 Sunday
  • 15:00

「今日ごはんいらない…」

という人生初の言葉を次男に言わせた事件。




事のいきさつは、

旦那さんが北海道土産で、本当に買ってきてくれたイクラ!!(わーい♪)を、
美味しくいただくために今夜はちらし寿司にしよう!
となって、材料を買いにスーパーへ行ったとき。

買い物には次男がついてきた。

予め、ちらし寿司に入れてほしい具は?とアンケートをとったけど、
主役のイクラが楽しみなので、あとは玉子と桜でんぶくらいしか意見は出なかった。
あ、絹さやも買おう。

生鮮売り場に差し掛かったとき。
あ、まぐろ…、少し入れようかな…と私が足を止めたら、

「早く通り過ぎて!」と次男が急かす。

「え?まぐろだよ?」

「高いでしょ!食べたくなっちゃうから早く!」


…そのとき私の心には「またか…」が芽生えた。

次男には時々、誰もダメなんて言ってないのに、自分でダメだと決めつけて否定するという心癖がある。
そのせいでチャンスをフイにするもったいない経験が何度もある。

(それはつまり私にも同じ心癖があるってことなんだけど、それはまた後で…。)

またそれか…と妙にイラッとしてしまった私は、
次男のお望み通りにまぐろを通り過ぎた。

そしてわざわざ通り過ぎてから、
始まってしまった。

「…私、まぐろを買おうかなと思ってたんだよ。
どうして『早く通り過ぎて』って言ったの?」

「えっ…、高いからダメだと思って…」

「ダメなんて誰も言ってないのに、自分で勝手にダメだと決めつけたんでしょう?あぁ私、まぐろ買っても良かったのになぁ」

なんて意地悪な母なんだ…。

しかし「勝手に決めつけて諦める」のを、なんとかしたいと思っていた私は、手を弛めなかった。

チャンスがあっても自分で潰してしまう癖を、どうにか自覚させたいと私は思ってしまったのだ。

そんな母にチクチク攻撃された次男は、すっかり意気消沈し、次第に意固地になっていく。

結局まぐろは買わずに店を出て車に乗り込む頃には、ほとんど返事をしなくなっていた。

そして冒頭の「ごはんいらない」という言葉を吐き出したわけです。


帰りの車中は私の尋問のようになっていた。

「ごはんいらないって、なんでそうなるのよ?
もし最初からまぐろを買う約束してたんならまだ気持ちはわかるけど、
最初にアンケートとった時はまぐろが欲しいなんて言わなかったよね?
最初からまぐろが欲しかった?」

「ううん」

「お店で見たらまぐろが欲しくなった。でもダメだろうと思って『早く通り過ぎて』と言った。
誰もダメなんて言ってないのに、勝手に自分でダメだと決めつけたんでしょう?」

「…」

「本当に欲しかったなら、ダメって言われようが何だろうが、欲しいって言ってみれば良かったじゃない。
ダメかどうかなんて、やってみなくちゃわからないって、いつも言ってるでしょう?」

「…」

「そもそもまぐろは最初から予定に無かったものなのに、『まぐろがないなら晩ごはんいらない』なんて、なんでそうなるのよ?
せっかくパパが買ってきてくれたイクラを美味しくいただこうってことで、ちらし寿司になったのに。
まぐろが無いならいらないっていうの?」

「うん」

「まぐろが無いならイクラもいらないの?」

「うん」


ああ、だめだこりゃ。

正直、子供の頃の私にそっくりなので(そして私は当時の母にそっくりだ…)
これは言ってもきかないと思って、少しほっとくことにした。

車から降りないというので、私と荷物だけが降りた。

家で待っていた家族にいきさつを話すと、旦那さんも「ほっとけば」と言った。

長男は「相変わらずだな」と馴れた様子。
長女は「そりゃ次男が悪いっしょ。あのまぐろ狂いめが」。


だけどその後に旦那さんは、

「でもまぐろをガマンしようとしたんだから、良いんじゃねーのか」

と言った。


…。

…。


ハッ、そうか…!


贅沢趣向な次男はよく私と長女と長男から
「高いのばっかり選びすぎ!」
「少しはガマンしろ!」
という言葉を浴びていた。

だから今回次男は咄嗟に、
「まぐろ欲しいけど、ガマンしなきゃ!」
と思ったんだ。

それで「早く通り過ぎて!」と言った。
だって本当は欲しいんだから、見てたらガマンできなくなっちゃう。

ガマンしていたんだ。

あの次男が、

あの贅沢趣向な次男が、

まぐろ大好きでワガママで気が強いあの次男が!(しつこい?)

まぐろを欲しいという気持ちを、ガマンしていたのだ…!

その気持ちを、またまた私は、汲んであげられなかったんだ。

ガマンしたという次男の努力を肯定せず、
勝手に諦めたのが悪いなどと否定した…。

否定的な考えに囚われて、完全に片側からしか見えていなかった。

まぐろを買う買わないなんて、どうでもよかった。
「次男の心癖をなんとかしたい」なんて、そんな必要なかった。

「ガマンした」という次男の頑張りを、ただ認めてあげれば良いだけの事だった…。


「あああ私、ちょっと次男に謝ってくる!」と車へダッシュ。

車のドアを開けたら、ん?次男がいない。

玄関に戻っても、靴はない。えっ!?

家出した…!?
(自分の幼少時代と重なった)

庭をざっと見回して再び車に戻ってみる。

あ、いた。

いちばん後ろの席に隠れていた。
良かった…。


「…あのね、謝らなきゃいけないことがあるって気付いたから来たの。
次男くんに謝りたいんだけど、聞いてくれる?」

…こくん、と無言で頷く次男。

「次男くん、まぐろをガマンしたのね。
いつも『少しはガマンしろ』って言われてたから、お店で見てまぐろを食べたくなったのを、ガマンしてたんだね。
偉かったね。

それをママは『勝手にダメだと決めつけた』なんて言ってしまった。
ごめんなさい。
ダメだと決めつけていたのは、ママのほうだった。」

…次男が泣き出した。

私は次男を抱きしめた。


ああ私、自分がしてほしかったけど叶わなかったことを、自分の子供にしてあげることができた…。
良かった…。


「…ご飯食べる?」

「うん」

「いっしょに食べよう?」

「うん」



そこから次男は一言も、まぐろのまの字も言わなかった。

誰よりも大ハシャギで、ちらし寿司を楽しみに待っていた。

出来上がったちらし寿司に最後にのせた、山盛りのイクラに大興奮だった。

みんなで食べたちらし寿司は、最高に美味しかったです。



次男の心を汲むことができたのは、旦那さんのおかげ。
旦那さんが「ガマンしたのは偉い」という「光」を見つけて教えてくれたから。

旦那さん…
やるじゃん…!


私がすぐに謝ることができたのは法華経のおかげ。
3年前ならきっと「どうぞ食べなくていいよ!もう知らない!」とか言ってたと思う。


次男の心を汲んであげられたことで、私の心の奥にあった小さい部分も救われたような気がした。


最高に美味しく楽しくこの夜の食事をいただけたのは、この事件が起きてくれてそれを乗り越えられたおかげ。


まさに「イクラを美味しくいただく」という願いを叶えてくれた事件。
この事件なくしてあの美味しさは味わえなかった。


は〜まるで教科書にでも載っていそうな王道の事件でした。

これだから仏教はやめられない。笑

こんな未熟な私でも、学べば学ぶほど感度が上がる。
毎日がどんどん面白くなる。

最高に美味しいイクラをご馳走さまでした。


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